昭和の不良カルチャーを語るに欠かせないとも言えるのが、「なめ猫」だ。その可愛さから人気は健在で、ホームページも存在するほどだ。令和に入り「昭和レトロ」が注目されるようになってからは、リバイバルグッズも登場して再注目されている。
今回は、一世を風靡したなめ猫についてご紹介していこう。

なめ猫とは

1980年代に登場した猫のキャラクターだ。子猫(本物)が、暴走族風の学ランやスケバンのような出で立ちで佇んでいるのが特徴で、正式名称は「全日本暴猫連合」。キャッチフレーズは「なめんなよ」だ。
いかつい言葉と見た目のギャップが超絶カワイイと、女性OLを中心に人気に火が付く。
やがて小中高生にも人気となり、世代を問わず大ブームに。ついには知らない人がいないほどの社会現象になったのだ。
ブームの火付け役となったのは、音楽やイベントのプロデューサーとして知られる津田覚氏。
当時、たまたま捨て猫を引き取って育てていたところで、その猫たちに人形用の服を着せてみたのがはじまりだそうだ。

グッズが売れまくる

可愛い子猫が学ランやロングスカートのスケバンスタイルの格好をした写真集は飛ぶように売れた。特に人気が高かったのが、免許証を模したカード「なめ猫免許証」だ。
メインキャラクターである「マタキチ」の顔写真には「住所不定」「死ぬまで有効」「なめられたら無効」といった謎のワードが並べられており、面白かわいい!と子どもたちにも大ウケだった。
他にも文房具やレコードなど、次々となめ猫グッズが発売されては飛ぶように売れたらしく、その当時、グッズだけで1年に26億円も売り上げたのだとか。
その後、動くなめ猫たちがCMや歌番組にまで登場するようになった。最大ブーム期の経済効果は、約1,000億円とも言われている。

猫ブームで再注目

80年代にブームが去ったなめ猫だが、2000年代に入り猫ブームが到来してから、再び注目されるようになった。また、最近の「Y2Kファッション」や「昭和レトロブーム」の影響から、当時のなめ猫に興味を持つ若者が増えてきている。
彼らは昭和のカルチャーを「新鮮」と感じるようで、なめ猫のリバイバルグッズが発売されると再びヒットとなった。今でもWebCMやLINEスタンプ、ゲームアプリとのコラボなど、多方面で活躍している様子がうかがえる。
時代を超えてなめ猫が愛されるのは、「子猫の可愛さ」という普遍的な部分もあるだろうが、ノスタルジー化した昭和の不良文化が、令和の若者には新鮮に映ることも大きく影響しているのかもしれない。