コンプライアンスの波に飲まれ、今では下火になってきている「不良もの」だが、ヤンキー映画にこそ、古き良き時代の不良文化が垣間見えると感じるのは、私だけではないだろう。
映画で描かれたリーゼントやボンタン姿は、当時のヤンキーたちのマストアイテムとして定着した。
今回は、いわゆるヤンキー映画から不良文化を学んでいこうと思う。懐かしいあの頃の作品から、ぜひそれぞれの青春時代を思い出してほしい。

ハイティーン・ブギ

1982年に公開された「ハイティーン・ブギ」。主演の近藤真彦は、当時「たのきんトリオ」として人気だったことから、同名の主題歌「ハイティーン・ブギ」も大ヒットした。財閥の御曹司が父親に反発して暴走族のリーダーになるという設定で、いかにも青春映画といった内容。主人公がアイドルということもあり、不良とは言えかなりマイルドに描かれている。

ビー・バップ・ハイスクール

きうちかずひろ作の人気漫画「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の実写版として1985年に公開された映画だ。主演は当時駆け出しだった清水宏次朗と仲村トオル。走る電車から突き落とされる場面やアーケードの屋根から落下するシーンなど、体を張った喧嘩のスタントシーンで話題となった。ヒロイン役はブレイクしたての中山美穂で、当時の男たちのハートはわし掴みにされたものだ。

湘南爆走族

1987年にヒットしたのも、漫画が原作の湘南爆走族だ。主人公の「江口洋助」を演じるのは、同盟の俳優、江口洋介。ギャグ要素も入っているが、バイクバトルなどやグループ間の抗争など、暴走族のシリアスな一面が描写されている。アニメ化もされており、不良漫画のパイオニア的存在として現在でも影響を与えている。

クローズZERO

累計発行部数9000万部を超える漫画「クローズ」が原作となったクローズZEROは、「ワルの巣窟」として知られる男子高校に転入した主人公が、仲間を増やしながら頂点を目指していく物語。映画では監督の三池崇史氏のもと、完全オリジナルストーリーで描かれている。三池監督ならではのヤクザ映画の世界観が融合したハードボイルドな作品だ。

1970~1980年代のヤンキー映画のターゲット層は中高生で、しかもごく普通の若者たちだ。ヤンキースタイルがファッションとして流行したこともあり、エンターテインメントとしてヤンキー映画が受け入れられた時代だった。彼らの独特のファッションやライフスタイルに傾倒する若者が多かったからだ。
ブーム後、ヤンキー映画は下火になっていくが、今時のスタイルを取り入れながら変化し息づいている。日本映画を歴史作るひとつの文化として、これからも絶えずにいてほしいものだ。