昭和の不良を語るに外せないのが「スケバン」だ。スケバンは当時、不良少女の象徴でもあったが、ある種ファッション化してからはスケバンを題材にしたドラマや映画も数々ヒットした。
可愛らしく清純なイメージのタレントがスケバン役を務めることも多く、同世代の男子から、怖がられつつも憧れの存在だったのだ。
今日は、スケバンのルーツや歴史、スケバンファッションについて深堀りしていきたい。

スケバンとは

スケバンとは、1970~1980年代の不良少女の呼び名だ。戦後、不良を中心に普及した女性を指す俗語「スケ」と、番長の「バン」を掛け合わせたことからきている。
濃い化粧と独特のファッションが特徴で、ガムを噛みながら街を歩くのは当たり前、タバコや酒、万引きなど、法律に触れる悪い行為も当たり前に行う。とにかく素行が悪く、荒ぶる乙女は皆スケバンと呼ばれた。ちなみに、スケバンが集まった女性だけの暴走族は「レディース」と称される。

スケバンファッションの特徴

制服のプリーツを、地面すれすれまで長くするのがスケバンの基本だ。靴はかかとを潰して履き、学生カバンはお湯で煮て薄く押し潰したものを脇に抱えるように持ち歩く。中にはカバンに鉄板を入れて、武器として使うスケバンもいたようだ。
ヘアスタイルは基本的に茶髪で、細かいロッドのパーマをかけている。

1980年代に入り、松田聖子などのアイドル全盛期に突入すると、スケバンも「聖子ちゃんカット」を好んで真似したようだ。サイドヘアは外巻き、後頭部は内巻きにして、ふんわりした毛流れにこだわった。
アイシャドウと口紅は紫色で、濃い化粧が「マブい(美しい)」とされた。
とにかく細い眉毛も特徴的だ。眉毛を剃ったり抜いたりして極限まで細く整えることで、相手に強くて威圧的な印象を与えた。
普段は気だるく街を闊歩しているが、出会った不良グループとにらみ合いや喧嘩をするのは日常の一コマ。
狂暴なスケバンになると、カミソリやチェーン、メリケンサックなど凶器を所持している者もいた。とてもお近づきにはなれない本物のヤバさを感じさせる。

「スケバン刑事」ブーム

1985年〜87年にかけて放送された不良ドラマ「スケバン刑事」が話題となってからは、一気にスケバンがファッション化されていった。
スケバン刑事とは、重合金製のヨーヨーを武器に巨悪と戦うという異色のドラマシリーズ。歴代の主演を務めた女性タレントは、全員が一躍トップアイドルの座にのし上がった。
武器として登場したヨーヨーはグッズ化されて、当時の子供達にも人気になったものだ。
当時、本物のスケバンがヨーヨーを所持していたかは定かではないが、カミソリやメリケンサックと比べると攻撃力は低そうで、ファッション小物としてはいくらか受け入れられる。
それにしても、スケバンは何かと美人が多いイメージが強かった。当時スケバンをやっていたお姉さま方は、今はどんな暮らしをしているのだろうか…。