暴走族とは、バイクや車を集団で無秩序に走行する集団のこと。騒音を伴いながらけたたましく夜の道を走行することが多く、最盛期には社会問題化した経緯がある。交通の妨害や危険をもたらす行動をする輩もいるほか、彼らの乗るバイクや車のほとんどが違法改造車のため検挙される者も多い。
暴走族には男性だけのグループが多いが女性がいる場合もあり、女性だけのグループは「レディース」と呼ばれた。
1970~1980年代は不良の代表格とされ、暴走族の所属有無にかかわらず、彼らの好む独特の服装や髪型がファッションとしても全国に広まった。

最盛期は1980年代

警視庁の調査によると、1980年時点で暴走族は全国に754グループ、39,000名近い構成員がいた。1981年にはグループ数がさらに増加し、835グループが確認されていた。
しかし、ブームが去りこれ以降は減少しており、今ではほとんど見なくなってきている。

暴走族の種類は2つ

暴走族は大きく分けて主に2つの種類がある。

共同危険型

共同危険型の暴走族は、集団で意図的に大きな騒音を発生させたり路上を占拠して集団で蛇行走行をしたりするなど、危険を伴う形態の暴走族だ。
バイクのマフラーを途中で切断して大きなエンジン排気音を発生させる、大音響で音楽やホーンを鳴らすといった迷惑行為が問題視された。

違法競走型

違法競走型は、公道でバイクや車の早さや運転テクニックを競うタイプの暴走族だ。
排気音の大きなエンジンやマフラーに付け替えた車両で走る、ドリフト走行を行うなど、騒音を発生させながらその走りを競い合う。共同危険型との暴走スタイルの違いから、走り屋と呼ばれることもある。

暴走族のルーツ

暴走族の起源は、1960年代にまでさかのぼる。当時はまだ高価だったバイクを集団で乗り回す若者が登場した。彼らはマフラーを外して爆音を響かせながら走るのが特徴的で、その様子から「カミナリ族」と呼ばれた。
1970年代に入るとバイクが低価格化し、一般に広く普及するようになった。それに伴い、不良少年たちにもバイクが浸透し、集団での暴走行為が取り沙汰されるようになった。
1972年、富山県富山市から端を発して全国に広がったグループ同士の抗争事件をきっかけに、「暴走族」の呼び名が広まった。
警察が暴走族の名称を公文書に用い始めたのはこの頃からと言われている。
中には火炎瓶や角材、木刀などで武装するグループもいて、社会の安全を脅かす存在として警察による取り締まりが厳しくなっていった。