昭和のヤンキーに代表されるファッションのひとつ、特攻服。
今の若者にはなじみがないが、その見た目が「逆に新鮮」という意見や、「東京卍リベンジャーズ」などヤンキー漫画のヒットによって、カルチャーとして注目されている。
とは言っても「特攻用」に着用している物はほとんどおらず、最近はコスプレとして楽しむのが主流のようだ。
今回は、昭和のヤンキーたちの特攻服へのこだわりについて知りながら、その魅力をまとめてみた。

特攻服とは

ヤンキーや暴走族などが着用する服だ。略して「トップク」と呼ばれる他、火消しの「纏(まとい)」と同じ様子から「マトイ」と呼ばれることもある。
そのルーツは1970年代のはじめ。それ以前の暴走族は、土木作業着のようなものを着たスタイルが主流だった。
ある時から右翼団体が来ていた刺繍入りの「隊服」を暴走族が取り入れ始め、そこから戦闘服、特攻服と呼び名が変わっていったそうだ。
特攻服や右翼団体と聞くと大戦中の日本軍の「特攻隊」をイメージしそうだが、実は戦争や特攻隊とは全く関係ない。
暴走族は危険な行為や走行をするため、警察に追われることも多い。危険を顧みない命知らずなヤツら、という様子から「特攻」と呼ばれるようになっただけのようだ。

特攻服の特徴

学ランの裾が長い「長ラン」に襷(たすき)や腕章、ハチマキなどのアイテムをあしらうのが主流で、上着には「喧嘩上等」などの四字熟語や「夜露死苦」など当て字の漢字刺繍が施されている。
彼らの漢字による当て字は主に縁起を担いだものだが、難読な字が使われることや英単語に無理やり漢字を当てていることもあり、一般人には読めない、意味の分からない場合が多い。
ズボンは裾の大きく広がった「ボンタン」に地下足袋やブーツインが定番だ。
特攻服が登場した当初は白や黒が主流だったが、1980~1990年代になると赤や青、黄色などのカラー特攻服が登場した。
メンバーで違うカラーリングの特攻服を着たりチームでお揃いの刺繍にしたりと、仲間同士で自分たちだけのかっこ良さを追求しているらしい。

今ではコスプレが主流

ヤンキーたちがいなくなった今、特攻服はライブやフェスなどのイベントやハロウィンのコスプレなどでしか見られなくなった。
ただ、漢字が刺繍であしらわれた特攻服は、外国人から見ると「クール」なものらしい。特攻服の魅力は海外へ伝わり、ネット通販の普及によってマーケットが一気に世界へ拡大した。
もしかすると世界のどこかには、日常的に特攻服を着ている人がいるかもしれない。